ペンのまにまに
樺細工の木地もの
 秋田県角館町の樺細工の老舗・藤木伝四郎商店は「木地もの」と呼ばれる箱型の製品に定評があります。同町の雲沢工場で自社制作しています。
 写真は小刀で貼り樺を整えているところ。
 その木地もの製品のなかから「線香入れ」と「裁縫箱」が今年度の日本民藝館展に出品されています。
 日本民藝館展は東京駒場の日本民藝館で、会期12月10日~12月25日。
 藤木伝四郎商店の木地ものには、桜の樹皮の美しさはもとより製品の縦横の寸法にまでも伝統の美しさが宿っています。
2023/11/11(Sat)
蛇の目の器
10月1日からショップ店頭では「門喜窯」加賀屋幹樹さんの器を展示販売しています。
器の中にある釉薬の掛かっていない輪は、蛇の目と呼ばれる重ね焼きの技法。ちょっと古風な幹樹さんの手仕事の魅力です。
写真は鉄釉五寸深鉢。
2023/10/9(Mon)
お盆のない町
 なだらかな砂漠の丘に広がる景色はエジプト・カイロ近郊の死者の町。レンガと粘土で作られた箱型の墓が寄り合っています。
 ふだんは人が立ち入ることはなく、日本のお盆のような風習もないそうです。墓守の家族だけが暮らしています。
 2018年3月、設楽享良氏撮影。
 
2023/8/11(Fri)
十文字竹細工
 大正5年、湯沢市に養蚕技術教育の乙種養蚕学校が設立され、翌年、秋田県是秋田製糸会社(従業員500人)が創業しました。ここに養蚕用の桑摘みかごや蚕かごなどの需要が生まれ、これに応えたのが地元に竹細工でした。
 やがて養蚕業とともに竹細工も姿を消していきましたが、十文字竹細工だけは果樹農家や川漁師の注文に支えられ平成の時代まで操業をつづけました。
 写真の竹細工「収獲かご」は十文字竹細工の最後の職人佐藤正行さん(平成21年逝去)の作。
 この季節になると「お盆までに納めるのだ」と言いながらせっせとかご作りに励んでいた正行さんの姿を思い出します。
2023/8/1(Tue)
岩七輪
 その昔、秋田で七輪が作られていました。産地は旧森吉町浦田地区。柳宗悦の著書『手仕事の日本』に「恐らく七厘としては最も美しいもの」と紹介されています。左の写真が芹沢銈介の小間絵でお馴染みの漆喰を施したもの。右は地元用の素焼きのもの。秋田で呼ぶ七輪はすのこに七つの穴(輪)があることに由来し、『手仕事の日本』で呼ぶ七厘は「炭の代金七厘にて足りる」に由来するそうです。鍋にはホタテの貝殻を使います。
 今の季節なら、塩くじらのナスかやきです。
2023/7/25(Tue)
水分補給
一人の男性が素焼きの壺「オッラ」に飲料水を注いでいます。
このあとこの壺は、誰でも飲めるように街頭に並べられ、道行く人々ののどを潤します。
エジプト・カイロの朝の風景。2018年、設楽享良氏撮影。
2023/7/8(Sat)
いしばし民芸店
 桜が終わったそのあと、角館は暫し静寂のときを迎えます。武家屋敷通りも新緑のなかに穏やかな佇まい。角館の魅力が際立つ季節です。
 写真は樺細工伝承館前にある「いしばし民芸店」。
 今年9月に開催される日本民藝夏期学校「角館会場」の受付窓口です。
2023/5/14(Sun)
秋田のネクタイ
 戦後のこと。関西の織物産地では販売戦略の一つとして、売込先の名勝地や史跡名を冠する商品を作っていました。「十和田湖 織ゆかた」は秋田や青森に出荷された三河織物(愛知)の商標の一つ。当時はゆかたや丹前下に使われました。
 現在、当ショップの店頭では、その古い布を使った手作りネクタイを展示販売しています。
2023/5/7(Sun)
柳宗悦の著書
2017年2月4日~3月26日、北海道立文学館で特別展「『手仕事の日本』と民藝の思想」が開催された折、当ショップからも民藝関連の古書籍が出品展示されました。
その展示書籍と同名の古書の一部は当ショップの店頭で販売されています。
写真は北海道立文学館。当時の二月の景色です。
ちなみに同館では現在、「細谷源二と齋藤玄 北方詩としての俳句」展を開催中。昭和俳句の現在と未来を問いかけます。
同館は地下鉄南北線「中島公園駅」3番出口から徒歩5分。右手は豊平館、札幌市天文台、渡辺淳一文学館です。
2023/2/18(Sat)
オリビエサラダ
国際交流基金の海外巡回展「美しい東北の手仕事」を訪ねてくれたロシアの子どもたち。講話「東北の手仕事と風土」は面白くなかったらしく、後半は食べ物の話に修正。おせち料理の話でようやく打ち解けて、秋田から持参の餅菓子「あられ」を配ると「フクースナ」と笑顔に。
子どもたちからは、新年のあいさつはロシア語で「スノービム ゴーダム」、お正月に食べる料理は「オリビエサラダ」だと教えてもらった。
2013年6月29日ハバロフスク極東美術館。ロシアと日本が友好国だったときのこと。
2023/1/4(Wed)